猫とCANDYとワンピース

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わたしの父を愛した女たち その2

   

加奈さんが家に来たのは、わたしが中2の時でした。

濃い目の栗色のロングヘアー

毛先が少しカール気味

ふんわり斜め気味の前髪

ナチュラルメイクで色白

白いリボンのついた小さなお花の柄のワンピース

あまりヒールの高くない薄いピンクのセパレート・パンプス

パンプスの色に合わせたバーバリー・ブルーレーベルのバック

わたしの受けた第一印象は

かわいい人だなーでした。

花柄のスカート

父が連れてきた女子大生

彼女だけではなく4・5人くらいの女子大生が家に来ました。

中学生のわたしから見ると、みんなお姉さんでとても大人っぽい感じがしましたが、加奈さんだけは少し子供っぽい印象でした。

男の人が守ってあげなくちゃって思うような。

前にお話ししたように、父は大学で研究職のようなことをしていたのですが、たまに学生に教えていました。

そしてこの時のように、学生を家につれてくることもよくありました。

居間で父・母・夕子さん(祖母です)わたし、そして女子大生のお姉さんたちで、コーヒーや紅茶を飲みながら

大学生活のとりとめのない話をしていた時でした。

夕子さんが衝撃的な一言を発したのです。

中学生のわたしででさえ空気を読んでしないような会話。

普通の母親(父の母です)が、奥さんの(わたしの母)の前で言うはずのない会話。

夕子さんの場違いな一言

「それで、この中でわたしの息子に恋しているのはどなたなの?」

 

窓から見える庭の芝生の上に弟の自転車が無造作におかれていました。

その窓から入ってくる風がカーテンを小さく揺らします。

 

全ての音が止まったようでした。

父は夕子さんをじっと見ています。

女子大生達はきょとんとした顔で夕子さんを見ています。

まるで母だけがちゃんとした人間のように、少し下を向いてクスッと笑ったような気がしました。

easter party

加奈さんの勇気

一人の女子大生がようやく声をだします。

たぶんすごく空気を読める気の利く女性。

その場の気まずい空気を和らげるように

「そんなー わたしたち先生のことは大好きですけど恋・・」

全部を言い終わらないうちに加奈さんが小さく手を上げて

消え入るような声で

「わたし・・・ わたしです」

・・・

・・・

その時の母の表情をわたしは今でもくっきりと覚えています。

まるで聖母のような微笑み。

聖母は見たことがないですけど

たぶんあんな微笑みです。

優しく包みこんで、いとおしむような微笑みで加奈さんを見つめています。

加奈さんは耳まで真っ赤にしてあげた手を小さく震わせています。

わたしは何が起こったのか、これから何が起こるのか。

頭の中がぐるんぐるんしていました。

さらに夕子さんの口からびっくりするような言葉が。

「これは美菜さん 強敵ね」

そして母の口からでた意外な一言

「はい ライバル出現です」

あとから母に聞いたのですが、どうやら本当にライバルだと思ったそうです。

父は何事もなかったようにすました顔でコーヒーを飲んでいました。

その後はみんなで写真を撮ったり、ゲームをしたり。

でもずっとわたしは加奈さんが気になって気になってしかたありませんでした。

 

夕子さんの思い

わたしは、女子大生のお姉さんたちが帰ったあと、意を決して夕子さんに尋ねました。

「どうしてあんなことをお姉さんたちに聞いたの?」

夕子さんはなんでもないようなことをどうして聞くのかという顔をして

「あら 昔からあなたのお父さんが女の子を連れてきたときは聞いてることよ」

ということはさっきのような光景は何度となく繰り返されている訳です。

いやいやちょっと待って。

独身の息子が女性をつれてきたならともかく

(それでもちょっとびっくりするけど)

結婚している男の人、しかも夫婦の前であんなことを・・・。

わたしが納得しかねている表情を読み取ったのか夕子さんは続けます。

「あの加奈さんは、どちらにしろいずれあなたのお父さんに告白してたわ。」

「でもそれは恋というよりは憧れね。」

「それはどちらでも構わないけれど、加奈さんが一世一代の告白をして、あなたのお父さんはどうすると思う?」

「お断りするでしょ?」

「そう、美菜さんを愛してるし家族を愛してるからね。」

「でもあんな風に・・・」

「もしも二人きりの時に告白して断られたらruruさんならどうなるかしら。」

「泣いちゃう。悲しくて顔も見れなくて学校も行けなくなっちゃう。」

「そうね きっと私でもそうだわ。」

「彼女はあのとき、すごく頑張って自分の想いを伝えることができたわ。」

わたしは加奈さんの震える手を思い出していました。

たんぽぽと女の子

「きっと彼女はあなたのお父さんとどうにかなりたいと思ってたわけじゃないの。」

「自分の気持ちで心がいっぱいになっていたのよ。」

確かにみんなでお茶を飲んでいたとき、加奈さんは思いつめたような顔をして、時々父の顔をみて小さくため息をついていました。

「行き場のない想いが、あんまりたくさん溜まっちゃうと、押しつぶされそうになって自分でも思いもよらないことをしちゃうことがあるのよ。」

まるで夕子さんは自分に起きたことを思い出すようにわたしに話をしています。

「帰り際に、加奈さんと何かお話していたでしょ?」

「うん、また遊びにきていい?って聞かれたからいいよっていったの。」

「あらよかった。じゃあ加奈さんは大丈夫ね。」

その時のわたしには、それがどういう意味かわからなかったけれど、いまならちょっとわかる気がします。

女子高生の母

それからわたしは少し気になっていたことを母に尋ねました。

「お母さんちょっと笑ってたよ?」

「そう?いつかしら?」

「加奈さんが手をあげたとき。」

「あぁ わたしと同じだったからうれしくなっちゃったのよ。」

母が話してくれたのは、女子高生のころ先輩だった父に連れられて、お友達数人と家に遊びに来た時のことでした。

その時も、夕子さんはまったく同じ質問を母たちにして、

そして母は、加奈さんと同じように小さな声で返事をしたそうです。

わたしはそれを聞いて、なんだかちょっとうれしくなりました。

どういう気持ちなのかいまだにはっきりと言葉にはできないけれど、とにかくふわっと幸せな気分になったのを覚えています。

その後も何度か加奈さんは遊びに来ました。

そして大学を卒業するころに、加奈さんは男性を連れてきてわたしたちに紹介してくれました。

父には似ていなかったけれど、笑顔がとっても素敵な青年でした。

少し長くなってしまいましたね。

今日はここまでで。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

それではまた!チャオ(^_-)-☆

 

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